幼馴染み皇子の強引すぎる婚約破棄と溺愛
屋敷に戻るや否や、父は険しい顔で私を呼びつけた。

「セシリア、ユリウス殿下の想いは……お断りするんだ。」

「……えっ?」

あまりに突然の言葉に、息が詰まった。

「どうしてですか⁉」

声を荒げたのは、これが初めてだった。

父の前で反抗する自分に驚きながらも、胸の奥から言葉が溢れ出る。

「私は……ユリウス殿下の想いにお応えしたいのです!」

父は厳しい目で私を睨みつけた。

「相手は皇子殿下だぞ。軽々しく口にしてよい話ではない。」

それでも、もう引き下がれなかった。

「皇子だって、愛する人と結ばれる権利はあるわ!」

胸の奥に燃え盛る感情が、止めどなく言葉となって溢れる。

「私達は……あの時、互いに想いを確かめ合ったのです。」

頬を熱くしながらも、必死に訴える私に、父は目を伏せた。

その横顔に一瞬の迷いが見えたのを、私は見逃さなかった。
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