幼馴染み皇子の強引すぎる婚約破棄と溺愛
「だからだ!」

父の声は厳しく響いた。

「ユリウス殿下は本気だ。だからこそ、おまえがお断りするんだ!」

「できないわ!」

胸の奥から溢れた叫びは、震えていた。

やっと、やっとユリウスと想いを重ね合わせたというのに。

ここで背を向けるなんて、できるはずがない。

「お父様こそ、考え直すべきです!」

思わず口をついた言葉に、父の目が見開かれる。

幼い頃から従順であることしか知らなかった娘が、初めて父に逆らった瞬間だった。

これ以上話しても平行線だと悟り、私はそのまま自室に駆け込み、扉を閉めた。

胸の奥は痛みでいっぱいで、涙が次々に溢れて止まらない。

「ユリウス……」

声に出して名を呼ぶと、寂しさがいっそう募る。

こんな時こそ彼の傍にいたい。抱きしめて欲しい。

「あなたが……好きなのに。」

枕を濡らすほど涙を流しながら、私はその夜をひとりきりで過ごした。

けれど心の奥には、彼を選びたいという確かな想いが、強く燃え続けていた。
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