幼馴染み皇子の強引すぎる婚約破棄と溺愛
翌日。屋敷の門前に、ユリウス殿下の姿があった。

「ユリウス殿下……」

私は思わず息を呑む。

「せめて……セシリアと会わせて頂くことはできませんか?」

毅然とした声で父に願い出る彼の瞳は、真っ直ぐだった。

父は険しい顔のまま沈黙した。

昨日あれほど「断れ」と言ったのに、それでもこうして皇子自ら足を運ぶ。

その必死さに心を動かされたのだろう。

「……わかった。少しだけだ。」

ため息と共に、父はユリウス殿下を屋敷に迎え入れた。

その姿を目にした瞬間、胸の奥が弾ける。

「ユリウス……!」

気づけば駆け寄り、彼の胸に飛び込んでいた。

押しとどめる理性も、羞恥も追いつかない。

ただ会いたかった。触れたかった。

殿下の腕がしっかりと私を抱きしめ返す。

「セシリア……」

その声に、昨夜の涙が一気に込み上げ、頬を濡らしていった。
< 19 / 150 >

この作品をシェア

pagetop