幼馴染み皇子の強引すぎる婚約破棄と溺愛
庭園を並んで歩いていると、懐かしい記憶が次々と蘇ってきた。

「ああ、ここの小川でよく水遊びをしたね。」

ユリウスの言葉に頷くと、彼は笑みを浮かべて靴を脱ぎ、そのまま川へと足を踏み入れる。

「セシリアも入る?」

子供のように目を輝かせて誘う声に、思わず笑みがこぼれた。

「もちろん。」

私も靴を脱ぎ、ドレスの裾を手繰り寄せて水へと足を浸す。

冷たい感触に声を上げると、ユリウスも楽しそうに笑った。

「ははは、本当に冷たいな。」

「ええ……!」

水面がきらめく中、彼はそっと私の腕を取り、抱き寄せてくる。

胸が高鳴り、息を呑む間もなく、唇に温かな感触が触れた。

「セシリア……好きだ。」

低く熱を帯びた囁きが耳元に響く。

「私も……」

気づけば言葉が零れていた。

幼い日の思い出の中で交わした初めての口づけは、もう無邪気なものではなかった。

大人になった私たちが、互いの想いを確かめ合う、揺るぎない証だった。
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