幼馴染み皇子の強引すぎる婚約破棄と溺愛
王宮に到着すると、すでに大広間は賓客であふれていた。

煌びやかなシャンデリアの下、貴族たちの談笑と笑い声が響く。

重臣や家臣だけでなく、若いご令嬢や子息たちも勢揃いしている。

まるでこの場そのものが、新たな縁談を取り結ぶ社交の舞台のようだった。

それを証明するかのように、入場するやいなや声を掛けられる。

「今度、一緒にダンスをしていただけますか。」

「ぜひ屋敷に遊びに来てください。」

私は笑みを浮かべながら応じる。

けれど心の内は冷え切っていた。

あからさまに断れば、父母に迷惑をかけてしまう。

だから社交の場では、愛想笑いでやり過ごすしかないのだ。

──そう。

ユリウスと結婚できない以上、私に残された道は、公爵子息の誰かと縁談を結ぶこと。

それが家を背負う者として当然の未来。

「……なのに、どうして。」

胸の奥で疼く想いを抑えきれず、私は小さく呟いた。

今日は彼を祝うために来たはずなのに。

王宮の華やかな空気の中、私だけが置き去りにされたようで、苦しさが募っていった。
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