幼馴染み皇子の強引すぎる婚約破棄と溺愛
ある公爵子息が、杯を片手に笑いながら言った。

「それにしても、第2皇子が隣国の姫君と結婚とは、この国は安泰だ。」

私は思わず問い返す。

「どうして……そう言えるのですか?」

子息は当然だと言わんばかりに肩を竦めた。

「皇太子殿下は剣術にお弱い。学問や政治にお強い方だから、内政向きだ。その点、第2皇子は剣も馬術も誰よりお強い。外交の場では大きなけん制になるお方だ。」

なるほど、と表面では笑みを作りながらも、心の奥では突き刺さるような痛みを覚えた。

改めて思い知らされる。ユリウスはこの国にとって圧倒的な存在だということを。

彼は民を守り、国を背負うにふさわしい人。

そんな輝かしい彼が、隣国の姫君を妃に迎えるのは当然なのかもしれない。

視線を上げれば、遠く高い席に立つユリウスの姿が目に入る。

誰よりも堂々とし、誰よりも人々の目を惹きつけるその存在感。

──なのに私は。

同じ場にいて、目に見える位置にいるのに。

幼い頃のように声をかけることすらできない。

届かぬ距離を思い知らされるほどに、胸の奥は締めつけられていった。
< 4 / 150 >

この作品をシェア

pagetop