幼馴染み皇子の強引すぎる婚約破棄と溺愛
街を歩いていると、ユリウスがふと足を止めた。

「これ、似合うと思って。」

そう言って手に取ったのは、大きな花をあしらった髪飾りだった。

華やかで、けれどどこか可憐さを残したその意匠は、何ともユリウスらしい選び方だと感じた。

屋敷に戻り、胸の奥を弾ませながらその髪飾りを髪に差してみる。

鏡の中に映る自分の姿に頬が赤らむ。

ちょうどそこへユリウスがやってきて、私を見つめた。

「……ああ、やっぱり似合うね。」

柔らかな声に、心臓が跳ねる。

彼はゆっくりと歩み寄り、私の頬に大きな手を添えた。

「とても素敵だよ。」

その一言に、胸がじんわりと熱くなる。

これまでずっと心に秘めていた想いが、一気に溢れ出しそうだった。

私はただ頷き、彼の瞳を見つめ返す。

──この人の言葉一つで、私はどこまでも溺れてしまう。

気づけばもう、恋に落ちているのではなく、完全に彼の愛に囚われているのだと悟った。
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