幼馴染み皇子の強引すぎる婚約破棄と溺愛
ユリウスの背中が扉の向こうへと消えていくのを見届けると、胸の奥にぽっかりと穴があいたように感じた。

「もっと……ユリウスと一緒にいられたら。」

そんなわがままを抱くなんて、これまでの私では考えられなかった。

けれど、彼と過ごす時間を重ねるたびに、その願いは抑えきれないほど大きくなっていく。

胸に手を当て、ぽつりと呟いた。

「……ユリウス、好きよ。」

誰もいない部屋で声に出すだけで、心がじんわりと温かくなる。

彼の名前と共に想いを言葉にした瞬間、体の芯まで熱が広がっていくようだった。

好きな人に求められている──その実感は、何よりも甘く、何よりも力強い。

一人になった今でも、彼の温もりと囁きが耳の奥に残っていて、消えることはなかった。

「私……こんなにも彼を愛してしまっているのね。」

呟きながら、頬を伝う涙さえ幸福の証のように思えた。

ユリウスの愛が私を変えていく。

その熱は絶え間なく胸に広がり、もう後戻りなどできないと悟った。
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