幼馴染み皇子の強引すぎる婚約破棄と溺愛
そのことは、母の耳にも届いていたようだった。

「セシリア。それが皇子から頂いた髪飾りなのね。」

母は優しい眼差しで私を見つめ、うんうんと頷いた。

「侍女たちが言っていたけれど……本当に最近のセシリア、綺麗になったわ。」

「そうですか?」

思わず恥ずかしくなり、視線を落とす。頬が自然と熱を帯びるのを感じた。

母は微笑みながら、ふと声を落とした。

「恋をしているのね。ユリウス殿下に。」

その言葉に、心臓が跳ねる。

否定できるはずもなく、私は小さく息を吸い、そして頷いた。

「……はい。」

その瞬間、母の表情が柔らかくなった。

「やっぱり。女は恋をすると輝くのよ。お父様と出会った頃の私も、きっと同じ顔をしていたわ。」

母の言葉は甘やかで、同時に真剣だった。
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