幼馴染み皇子の強引すぎる婚約破棄と溺愛
「でも……私に本当に妃なんて務まるのかしら。」

思わず、母の前で胸の内を吐き出していた。

華やかな宮廷に立つ自分の姿など、とても想像できない。

国を背負う皇子の隣に並ぶ未来が、私にはあまりにも遠すぎるように思えた。

母はしばらく黙って私を見つめ、それから静かに口を開いた。

「セシリア。もしこの愛を貫こうとするなら……覚悟を決めることよ。」

その声は穏やかで、けれど揺るぎない強さを秘めていた。

「どんな困難が待っていようと、あなたが皇子殿下を選ぶと決めるのなら……必ず耐え抜ける。愛はその力を与えてくれるものだから。」

私はぎゅっと手を握りしめ、母の言葉を胸に刻む。

不安はまだ消えない。けれど、母の瞳に映る自分は、思ったよりも弱くはなかった。

「……覚悟を。」

その言葉を心の中で繰り返しながら、私は強く頷いた。

もう迷わない。ユリウスと共に歩む未来を、私は選ぶのだ。
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