幼馴染み皇子の強引すぎる婚約破棄と溺愛
応接間に緊張が走る中、ユリウスは姿勢を正し、父と真っ直ぐに向き合った。

「アルヴェール公爵閣下。」

一呼吸置き、その瞳は揺るぎなく光を宿している。

「私は──セシリアを、私の妃として迎えたい。」

その言葉が放たれた瞬間、空気が一層張り詰めた。

父は驚愕に目を見開き、私もまた心臓が跳ね上がるのを感じる。

「殿下……いま、何と?」

低い声で問い返す父に、ユリウスは臆することなく続けた。

「幼い頃から共に過ごし、成長する彼女をずっと見守ってきました。今、はっきりと自覚しています。私の生涯の伴侶は、セシリアただ一人だと。」

力強い響きが応接間に満ち、私は胸が震えた。

父は深く息を吐き、険しい眼差しでユリウスを見据える。

「……その決意、本気で申しているのですね。」

「はい。いかなる困難があろうとも、私は彼女を手放しません。」

揺るぎない宣言に、父もまた返す言葉を探して沈黙する。

その間、私はユリウスの横顔を見つめ、心から誇らしく思っていた。
< 57 / 150 >

この作品をシェア

pagetop