幼馴染み皇子の強引すぎる婚約破棄と溺愛
そして、荘厳な空気をまとい玉座に座す国王が立ち上がった。

朗々と響く声が、大広間の隅々まで届く。

「第2皇子、ユリウス・フォン・セルヴァンテスと、隣国の王女、イザベラ・ディ・ローゼンベルクとの婚約を、ここに告げる。」

その瞬間、盛大な拍手が沸き起こり、華やかな歓声が大広間を満たす。

「おめでとうございます!」

「万歳、皇子殿下!」

次々に響く祝福の言葉に、場は喜びと期待で熱を帯びていった。

ユリウスは壇上に立ち、その喝采を静かに受け止める。

毅然とした姿勢を崩さず、わずかに頭を下げ、小さく礼を述べるその様子は──もう私の知っている幼馴染みではなかった。

庭園で泥だらけになって駆け回った少年。

花を差し出し、拗ねた顔で笑っていたあの少年。

彼の面影は、今はもうどこにも見当たらない。

目の前にいるのは、国を背負い、民の期待を一身に受ける“皇子ユリウス”。

私にとって近くて遠い存在。

そう思うだけで、胸が張り裂けそうになるのだった──。
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