幼馴染み皇子の強引すぎる婚約破棄と溺愛
「旦那様、皇子殿下がお泊まりになるお部屋は客室でよろしいですか?」

使用人が尋ねた瞬間、応接間の空気がぴんと張り詰めた。

「ああ……」

父は短く答えかけ、しかしすぐにユリウスへと視線を移す。

「まあ、どこでお休みになるかは……皇子殿下がお決めになればよろしい。」

その一言に、胸が大きく跳ねた。

つまり、それは客室に限らず──私の部屋であっても構わないという暗黙の許し。

ユリウスは真摯に頭を下げた。

「……感謝申し上げます。」

その姿を見て、さらに頬が熱くなる。

(まさか本当に、私の部屋に……?)

父の言葉には、娘を託そうとする父親の決意が込められていた。

けれど、私にとってはあまりに突然すぎる展開に、心臓が早鐘のように鳴り止まない。

「セシリア……」

ユリウスが優しく名を呼ぶ。

視線を合わせた瞬間、胸の奥に期待と不安が入り混じり、私はただ小さく頷くしかなかった。
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