幼馴染み皇子の強引すぎる婚約破棄と溺愛

第5章 情熱の初夜と独占

夕刻、食堂には普段よりもずっと豪華な料理が並べられていた。

「これは……豪華な食事だな。」

ユリウスが感嘆の声をあげると、父は少し照れくさそうに口を開いた。

「今夜は特別だ。私に結婚を申し伝えるということは……つまり、プロポーズも上手くいったのでしょう?」

「はい。」

ユリウスが力強く頷くと、父の顔に満足げな笑みが浮かんだ。

「まさか、あの幼いユリウス殿下が……我が婿になるとは。」

その声音には驚きと誇らしさが混じっている。

「……あの時は、お世話になりました。」

ユリウスが真摯に頭を下げると、父は思い出したように目を細めた。

「庭園で共に遊んでいた頃が、まるで昨日のことのようだ。」

私は黙って二人のやり取りを聞きながら、胸の奥がじんわりと温かくなるのを感じていた。

父もまた、ユリウスを家族として迎え入れる覚悟を固めつつあるのだ。

豪華な料理に照らされた食卓は、まるで小さな婚約祝いの席のように感じられた。
< 61 / 150 >

この作品をシェア

pagetop