幼馴染み皇子の強引すぎる婚約破棄と溺愛
やわらかな朝日がカーテンの隙間から差し込み、部屋を淡く照らしていた。

その光の中で、私はユリウスの胸に抱かれたまま目を覚ます。

「……セシリア。」

まだ眠たげな声で名を呼ばれ、顔を上げると、彼の瞳が優しく細められた。

「おはようございます、ユリウス殿下。」

思わずかしこまって言うと、彼は小さく笑って首を振る。

「もう“殿下”なんていらない。俺にとっては、ただのセシリア……俺の妻だ」

胸が熱くなり、涙が込み上げそうになる。

昨夜、幾度も重ねられた愛の言葉が、今も心の奥で宝石のように輝いていた。

「幸せです……本当に。」

私が呟くと、ユリウスは頬に唇を落とした。

「俺もだ。どんな運命が待っていようと、君となら乗り越えられる。」

朝の光に包まれながら、私たちは再び抱き寄せ合った。

夜を越えて結ばれた絆は、もう誰にも壊せない。

──この人と共に歩む未来を、私は心から信じていた。
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