幼馴染み皇子の強引すぎる婚約破棄と溺愛

やがて開かれた議会の場は、重苦しい空気に包まれていた。

玉座の前で宰相が進み出て、深々と一礼すると、鋭い声で告げた。

「もはや戦争を回避する道はございません。……ただひとつ、ユリウス殿下が隣国の姫君との婚姻を受け入れること。それ以外に国を守る手立てはないのです。」

議場がざわめきに包まれる中、ユリウスはただ黙ってその言葉を聞いていた。

父王の目が彼に向けられる。

「ユリウス……分かったか。」

重く低い声に、場の空気はさらに張り詰めた。

隣国との同盟は、確かにこの国の存亡を左右する大義だった。

だが、その婚姻はセシリアを失うことを意味する。

愛か、国か。

二つの道の狭間で、ユリウスの胸は深く揺れていた。

静かな沈黙が、誰よりも雄弁に彼の葛藤を物語っていた。