幼馴染み皇子の強引すぎる婚約破棄と溺愛
胸の奥が震えた。

彼の力強い瞳に見つめられると、抗うことなどできなかった。

──強引すぎるほどの愛。

それでも私は、この腕に抱かれていたいと願ってしまった。

「行こう、セシリア!」

ユリウスの腕に強く抱き寄せられ、私は震えた。

大広間の視線が一斉に私たちに注がれる。

「ユリウス殿下……!」

私は必死に彼の胸を押し返した。

「だめです……これ以上は……!」

「どうしてだ! 君を失いたくないんだ!」

ユリウスの声は熱に震え、切実さが滲んでいた。

私は涙をこぼしながら首を振った。

「私も……殿下を失いたくありません。ですが……今ここで駆け落ちのような真似をすれば、民は混乱し、戦は避けられなくなるのです!」

「セシリア……」

彼の瞳が揺れる。

「あなたが私を選んでくれるのは、どんなに嬉しいことか……でも、私はあなたの妃になるだけの女ではありません。民の未来を背負う存在にならなければ。」
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