幼馴染み皇子の強引すぎる婚約破棄と溺愛

7章 溺愛と逢瀬

それから、私はユリウスの訪問を拒むようになった。

毎夜のように門を叩く声を聞いても、心を鬼にして会わなかった。

──これが、この国を守ることにつながるのだ。

そう自分に言い聞かせ、震える指で扉に鍵を掛けた。

「セシリア、本当にそれでいいの?」

母が心配そうに私を見つめる。

胸が締め付けられる。それでも私は微笑んで答えた。

「いいんです……あれは、一時の夢だったんです。」

言葉にした瞬間、喉の奥が熱くなった。

夢だと自分に言い聞かせなければ、とても耐えられなかったからだ。

「でも……」

母はなおも言葉を続けかけたが、私は首を横に振った。

「大丈夫です。殿下は……きっと国のために立たれる方ですから。」

そう言いながら、胸の奥では叫んでいた。

──本当は、今すぐにでも会いたい。

抱きしめられたい。甘い言葉を聞きたい。

けれど私は、愛よりも国を選ばなければならない。

その想いを押し殺しながら、私は冷たい夜を一人で過ごした。
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