幼馴染み皇子の強引すぎる婚約破棄と溺愛
ある夜、月明かりの下で読書をしていた私は、不意に窓の外の気配に気づいた。

「……ユリウス殿下?」

カーテンを開けた瞬間、姿を現したのは息を切らしたユリウスだった。

「会えない日々は……辛すぎるんだ。」

そう告げると、迷いなく窓から部屋の中へと入ってきた。

「な、なぜこんな真似を!」

私は驚きのあまり声を上げたが、彼は私を抱き寄せ、必死に言葉を紡ぐ。

「セシリア……君に拒まれても、どうしても諦められない。俺は君に会わなければ、生きている心地がしないんだ。」

その瞳には切実さと熱が宿っていて、叱ることもできなかった。

「殿下……」

震える声で呼ぶと、彼の腕の力がさらに強くなる。

「俺は、君を手放せない。国のことも理解している……でも、心だけはどうしても譲れないんだ。」

胸に押し当てられる熱に、拒んでいた心がまた揺さぶられる。

──この人は本気で、私を愛している。

涙が滲み、私はただ彼の名を呼ぶしかなかった。
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