幼馴染み皇子の強引すぎる婚約破棄と溺愛
「殿下、これきりです。もう会いに来てはいけません。」

唇を離した途端、私は震える声でそう告げた。

必死に胸の奥を押し殺し、理性だけで絞り出した言葉だった。

けれどユリウスは眉をひそめ、私の頬を包み込む。

「……俺を拒むな。」

その低い声に、心が強く揺さぶられる。

「国のためには……」と続けようとしたが、熱い眼差しに飲み込まれた。

「国のため、民のため……全部わかっている。」

彼の額が私の額に触れ、息遣いが混ざり合う。

「だが、セシリア。俺にとっては君こそがすべてなんだ。」

「殿下……」

涙がにじむ。拒まねばならないと頭では分かっているのに、胸はただ彼を求めてしまう。

「君がどれほど俺を拒もうとしても……何度でも会いに来る。」

ユリウスの声は決意に満ちていた。

強引すぎるほどの愛情に、私は抗うことができず、ただその胸に縋るしかなかった。
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