幼馴染み皇子の強引すぎる婚約破棄と溺愛
「ユリウス……!」

静かな夜、窓を開け放つと、そこに立っていたのはまたも彼だった。

「許してくれ。君に会わないと、俺は眠れないんだ。」

低い声とともに抱きしめられる。

その腕は強く、震えていて、どれほど彼が苦しんでいるのかが伝わってきた。

「殿下……もう来てはなりませんと、申し上げたのに。」

必死に抗議しても、彼は首を横に振る。

「本当は……抱きたい。」

耳元に囁かれ、体が一気に熱を帯びた。

「あっ……」

否定の言葉は声にならず、頬が火照っていく。

「……あの日から、セシリアのことばかり考えている。」

彼の吐息が頬にかかり、心臓が跳ね上がる。

会ってはいけないのに。拒まねばならないのに。

それでも、熱い抱擁に包まれると、理性は簡単に揺らいでしまう。

「ユリウス……」

名前を呼ぶだけで精一杯だった。

けれどその一言が、彼をさらに熱くさせてしまうのだと分かっていた。
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