純愛初夜、次期当主は初恋妻を一途な独占愛で貫きたい。



「おはよう、花暖!」


 隣のデスクから、同僚の美奈さんが弾けるような笑顔で声をかけてくる。彼女は同期で、明るくて気さくな性格。ショートカットの髪を揺らし、いつものようにエネルギッシュに話しかけてくる。


「おはよう、美奈さん。今日も忙しそう?」

「うん、午後から部長のチェックが入るから、資料を急いで仕上げてるの。花暖は?」

「私も同じ。新商品のファンデーションのデータ整理。午前中で終わらせたいけど、ちょっと量が多くて……」


美奈さんがコーヒーカップを手に持ったまま、ニヤッと笑う。

「そういえば、花暖、最近なんかキラキラしてるよね? やっぱり彼氏の影響?」

「え、そ、そんなことないよ!」


顔がカッと熱くなる。美奈さんの視線が私の左手に注がれ、彼女の目がさらに輝いた。



< 3 / 54 >

この作品をシェア

pagetop