純愛初夜、次期当主は初恋妻を一途な独占愛で貫きたい。
「そう見える。ほら、行くぞ」
行く? どこに?
そう思った瞬間、彼の腕が私の腰に回るとヒョイと横抱きにされる。
え、え!? ドレスがふわりと浮き、ヒールが宙に揺れる。急なことに頭が真っ白になる。
「ちょ、千暁さま! 降ろしてください!」
「このまま歩かせたら、また転ぶ。俺の家、近いから。」
家!? 頭がさらにパニックになるけど、千暁さまの腕は温かくて力強い。抵抗する気力もないまま、彼の歩くリズムに揺られる。
街灯が遠ざかり、高級住宅街の静かな通りに入る。木々の葉が風に揺れる音だけが聞こえ、まるで別世界に迷い込んだみたいだ。
千暁さまの家は、モダンな一軒家。白い外壁、大きなガラス窓が月光を反射している。玄関に入ると、木のフローリングがピカピカに磨かれ、ほのかにウッドの香りが漂う。
まるで高級ホテルのロビーのようだ。千暁さまが私をソファにそっと降ろした。