明治誓いの嫁入り──政略結婚から始まる危険なほど甘い溺愛

第2章 溺愛

翌朝。
私は恥ずかしい思いを押し隠しながら、誠吾さんと並んで朝食を摂った。

「あの……お父様とお母様は?」

「二人はゆっくり食べるんだよ。気にせず、先に食べよう。」

促されて箸を取ると、炊きたての白いご飯の香りが広がる。

一口頬張った瞬間、その甘さに思わず声が漏れた。

「……お米が美味しい。」

「ああ。父の実家が米農家でね。いつも送ってくれるんだ。」

穏やかに語る誠吾さんの横顔を見つめながら、胸がじんわり温かくなる。

ただ一緒に食べているだけなのに、不思議と格別に美味しく感じられるのだ。

「美味しいものを食べる時は、君と一緒がいい。」

不意に囁かれたその言葉に、顔が熱くなる。

政略で嫁いだはずなのに──私は少しずつ、この人に甘やかされていくのを感じていた。
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