キミノオト
「絶対、この曲を作った人は心のきれいな優しい人だと思う」
ゴトッ
何かが落ちた音がして足元を見ると、ペットボトルが転がっていた。
どうやら、前に並んでいる人が落としたものが転がってきたみたい。
「大丈夫ですか?」
すぐに拾い上げて差し出したが、どうやら前に並んでいたのは、男性3人組だったようで、誰のものかわからずおどおどしてしまう。
「ありがとうございます」
ふわりと柔らかそうな黒髪を揺らしながら、そのうちの一人が微笑んで受け取ってくれた。
なんだかこの人たち、雰囲気あるな。
おそろいでキャラクターの色付きレンズのメガネをしているけれど、みんな似合っている。
「なにやってんの、陽貴」
「ごめんごめん、ちょっと手が滑って」
「とか言って、本当はかわいい女の子たちに絡みたかったんじゃないのぉ?って、ちょ、冗談!」
笑顔でヘッドロックしてる…
仲がいいんだな。
メガネでよく顔が見えないけれど、みんなきっと整った顔立ちなのだろう。
一人は、茶色の髪に175センチくらいだろうか、すらっと背が高く、きりっとした顔立ち。
二人目は、金に近い長髪で180センチくらいありそうだけど、かわいらしい顔立ち。
それから先ほどペットボトルを受け取ってくれた、黒髪で170センチくらいの中世的な顔立ちの男性。
「今日は、二人で遊びに来たの?」
「はい、気分転換に!」
茶髪の彼に話しかけられ、硬直する私をよそに、優麻ちゃんが元気よくお返事している。
どうやらイケメンレーダーが作動したみたい。
「よかったら、乗り場まで少しお話しませんか?」
黒髪の彼に、少し高めの心地よい声で誘われ、気づいたときには「はい」と返事していた。
心臓がどくどくと音を立てている。
みんなに聞こえてしまうのではないかと緊張しながら、気持ちを落ち着かせようと救いを求めるように優麻ちゃんの服の裾をつかんだ。