キミノオト

その後も、アトラクションやキャラクターグリーティングの待ち時間にたくさん写真を撮られ。

「私の海音コレクションが潤ってるわぁ…最高」

なんていう変わり者の優麻ちゃん。

「推しの写真も撮らねば!」

そう言っては、バッグから推しのぬいぐるみを取り出し、パークを背景に写真を撮る彼女。

スマホの容量がどうなってるのか、少し気になる。

「海音は?興味のある人とかグループとかいないの?現実でもいいよ。好きな人とか!」

アトラクションの列に並びながら、推しの写真を撮る優麻ちゃんから質問される。

「うーん、恋愛はしばらくお休みしたいかな。私なんかが恋愛なんてしたら迷惑かけるし。それに、最近の流行とかあまりよくわからないんだよね。」

「恋愛は自由だよ。でも、海音はアイドルとか興味ないよね。見た目から入る私と違って、純粋に音楽を楽しんでる」

優麻ちゃんは、海音らしいよねって笑ってくれた。

「最近、いいなって思った曲は?」

「そうだなぁ…あ、ドラマの主題歌になってた曲」

スマホで検索して、この曲、と優麻ちゃんに見せる。

「あ、これ今めちゃ人気のバンドの曲だよ。メンバーみんな顔キレイだし。トリノコシってバンド。」

「え、そうなんだ。でも、人気なのは納得。心に響くもん。私もいろいろあったけどさ、この曲聞いたら勇気が出て、逃げようって思えたの。絶対、ほかにも救われた人たちたくさんいると思う」

何度心無い言葉を浴びせられても、浮気されても、私が悪いからって我慢してたけど、この曲が勇気をくれた。
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