キミノオト

「海音ちゃんを助けてって、どういうこと?」

綾ちゃんの問いかけに、優麻さんは海音ちゃんの作り笑いの理由を簡単に話してくれた。

元カレの洗脳か…。

「本当は、私から話していいことではないのはわかってます。でも、久しぶりに海音の心からの笑顔をみて、陽貴さんになら海音を救えるんじゃないかって思ったんです」

「友達思いだね」

情に厚い誠が、感動したようにそう言っているが…

「俺にそんなことできるかな」

「あなたの曲が、海音の心を動かしたんです。あなたとの会話で、海音が笑ったんです」

「え、もしかしてばれてる!?」

「誠はちょっとおだまり」

綾ちゃんも正体がばれていることには気づいていたらしい。

誠だけが気づいていなかったようで、綾ちゃんに口をふさがれている。

「お願いします。仕事柄、異性とのかかわりは最小限にした方がいいことも理解しています。それでも、海音を救ってあげたい」

そういって、優麻さんはスマホを取り出すと、あるSNSのアカウントを表示させた。

「これ、海音のアカウントです。立場的にフォローはできないと思うので、この画面写真撮るか、記憶してください」

半ば強引に、アカウントを教えられ戸惑う。
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