キミノオト
「ねぇ、あれ、海音ちゃん絡まれてない?」
綾ちゃんに言われ、優麻さんの後方を確認すると、男二人が海音ちゃんに絡んでいるようだった。
気が付いた時には、体が勝手に動いていた。
腕を引かれ、バランスを崩した海音ちゃんを支える。
「この子に何か用事ですか?」
笑顔で問いかけたけれど、引きつっていたと思う。
ほかの男に触れられているところをみて、もやっとした自分に驚いた。
その後、みんなも追いかけてきて、海音ちゃんは優麻さんに抱きしめられて安心した顔をしていた。
海音ちゃんの無事を確認できたところで、周りに人だかりができていることに気づく。
一連の騒ぎで、注目を浴びすぎたようだ。
俺たちに気づいた人もいるようで、非常によろしくない状況。
「周りの迷惑になるから、俺たちはもう行きます。海音ちゃん、またね」
二人に軽く挨拶を済ませると、俺たちは逃げるようにその場を後にした。
「またね、ねぇ」
「約束は守らないとね?」
足早に歩きながら、にやにや笑う二人にいじられる。
本心が、自然と口から出ていた。
あ、なんか曲浮かんできたかも。
なんだか今日は、いい曲が作れそうだな。