キミノオト
【7】
テーマパークに行った日から、早1週間。
1週間たった今でも、少し高くてなぜか落ち着くあの声を忘れられずにいる。
もう会えることはないけれど、あのドキドキが昨日のことのようによみがえってくる。
「テレビつけていい?」
お夕飯を食べ終え、まったり時間を過ごしていると突然優麻ちゃんが動き出した。
どうぞ、と、リモコンを手渡す。
テレビに映し出されたのは、とある歌番組だった。
「海音もみようよ」
優麻ちゃんに誘われて少しテレビに近づく。
ちょうどかわいらしい女性アイドルグループのパフォーマンスが終わった。
次は、この前優麻ちゃんに教えてもらった“トリノコシ”の出番のようだ。
優麻ちゃんいわく美形ぞろいらしいけど、暗転していて顔は全く見えない。
ぼーっと画面を見つめているとボーカルの男性が話はじめ、その声を聞いた途端、思わず体が反応した。
え、いや、まさかそんなこと…
曲が始まり、ぱっと明るくなったそのステージには、見覚えのある顔が並んでいた。
眼鏡越しだったとはいえ、あんなに濃い時間を過ごしたんだもの。
鮮明に覚えている。
優麻ちゃんはきっと気づいていて、わざとこのタイミングでテレビをつけたのだろう。
「陽貴さん…」
この1週間、呪いの言葉と同じくらい何度も頭をよぎった彼の顔。