キミノオト

「ねぇ、海音」

優しく声をかけられ、隣にいる優麻ちゃんを見る。

「海音は、陽貴さんに会いたい?」

正直に言えば、会いたい。

でも、私なんかが恋したら…

「恋しちゃいけない人なんていないんだよ」

「…会いたい」

私の言葉に満足そうな顔をした優麻ちゃんは、優しく頭をなでてくれた。

「でも、これが恋かはわからない。会いたいと思うのも、優麻ちゃんに思うのと同じ感覚かもしれない」

「焦って結論を出す必要はないよ」

「それに恋しても、こんなにも住む世界が違う」

そう、彼は大人気アーティストで、私はただのどこにでもいる一般人。

好きになったところで、無駄だ。

「人生何があるかわからないよ。私だって、明日推しと結婚するかもしれないし!」

ポジティブな優麻ちゃんに思わず笑うと、また優しい眼差しで優麻ちゃんは言った。

「かなわなくたって恋するのって素敵なことだよ。それに、また海音が前を向こうとしてくれることが、私はすごくうれしい」

「そうだね、ありがとう。優麻ちゃん大好き」

優麻ちゃんには気づかされてばかりだ。

それに、私のことをすごく大事にしてくれている。

いい友達をもてて幸せだなぁ。

いつまでも龍也になんておびえていられない。

少しずつでも前を向いて進んでいこう。
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