キミノオト
「ちょっとお手洗いいってくるからさ、そこのショップでも見ててくれる?」
2人になったと思ったら、大慌てで足早に離れていく優麻ちゃん。
ひとりになった私は、ぼーっとしてしまう。
優麻ちゃんにはショップを見ててと言われたけれど、そんな気分になれない。
さっきまで楽しい気持ちのおかげで忘れていた言葉たちが、待ってましたと言わんばかりに次々と脳内で再生される。
途端に、元カレ…龍也が近くにいるのではないかという不安に駆られはじめ、足がすくんだ。
大丈夫、こんなところにいるはずない、落ち着け。
切り替えようと焦れば焦るほど、どんどん悪い方に思考が向いてしまう。
視界が狭く暗くなるような感覚がしてきた。
とりあえず一旦座って休もう。
なんとか重い足を動かすと近くのベンチに腰掛けた。
「大丈夫?一人?」
突然声をかけられ、顔を上げると男性が二人。
「具合悪いの?俺たちが休めるところまで連れてってあげようか」
そういって、腕をつかまれる。
「ありがとうございます。でも、大丈夫です。友達を待っているので…」
「気分悪いんでしょ?介抱してあげるよ」
「やめてください」
強く掴まれている腕が痛む。