キミノオト

陽貴さん達が大人気なアーティストだと知ってから、3か月が経った。

会いたい気持ちを少しでも紛らわせたくて、たくさん曲を聴いて、写真やライブ配信もみたりした。

でも、それはいつも逆効果で、さらに会いたくなって、また同じことを繰り返して。

だけどこの会いたい気持ちが、恋しているからなのかは、いまだにわからない。

そんな悶々とした日々を過ごし、気づけば季節は冬になりかけていた。

「海音、来週の土曜日予定ないよね?」

仕事から帰り、お風呂を済ませたところでインターホンが鳴った。

応答するなり、モニター越しに優麻ちゃんからの失礼な質問。

「予定はないけど…聞き方…」

仕事と優麻ちゃんとの予定以外は、家に引きこもっている現状を知っているからこその聞き方なのはわかるけど、失礼だな。

「じゃあ、1日かけてでかけるからね」

「どこに?」

「それは当日のお楽しみ」

いたずらっ子のように笑った優麻ちゃんは、なぜかすごく楽しそうで鼻歌を歌いながら、隣室に帰っていった。


そして迎えたお出かけの日。

朝早くに優麻ちゃんが訪ねてきた。

「おっはよ~!さぁ、やるよ!!」

いつもの優麻ちゃんならまだ寝ていてもおかしくない時間帯。

油断してまだ支度をしていなかった私。

「やるって何を?」

「お姉さんが海音をさらにかわいく仕上げるよ!」

そういって、メイクポーチをじゃんと見せる優麻ちゃん。

「そのために早起きしたんだからね!拒否は許さん」

< 23 / 99 >

この作品をシェア

pagetop