キミノオト
陽貴side


アトラクションの途中から、作り笑いを浮かべ始めた海音ちゃん。

仕事柄、笑顔が本心か作り物かなんてすぐに見分けがつく。

何か気に障ることをしてしまっただろうか。

急にそうなってしまった理由が気になるけれど、たまたま前後に並んで、たまたま一緒にアトラクションに乗っただけの関係である俺が、それをきいてもいいのか。

結局何もきけないまま、別れの時間。

「それじゃあ、またどこかで」

そう告げたのは自分のはずだけど、本当にこれでよかったのか?

「陽貴、連絡先はきけたの?」

綾ちゃんからの質問に俺は苦笑いで答えた。

「いや、聞けないでしょ」

「なんで?いい感じだったじゃん!」

誠の言葉に綾ちゃんもうんうんと頷いている。

「たまたま話をして、たまたま一緒に乗り合わせただけだし…」

「「えぇ…」」

若干ひかれている気がする。

口を開こうとしたその時、

「陽貴さん!」

後ろから呼び止められた。

振り返ると、優麻さんがいた。

「海音のこと、助けてください」

周囲の目も気にせず、お願いします、と頭を下げる派手髪の女性。

周りから何事かと注目されているのがわかる。

目立つのはまずい。

「優麻ちゃん、顔上げて!!」

慌てて誠が優麻さんに駆け寄って顔を上げさせると、道の端へ移動する。
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