キミノオト

「私も会いたかったです、陽貴さんに」

ちらりと陽貴さんの顔を見ると、優しい瞳で続きを促される。

「あの後、陽貴さんがすごい人だったって知って、もう会えないって諦めてました。そしたら、姿を見ることはできるよって、優麻ちゃんが連れてきてくれたんです」

来てよかったです、と微笑んだ私の目にはうっすら涙がこみあげてきていた。

陽貴さんが口を開きかけたその時。

ガチャ

「そろそろ時間切れ。その子も送ってやるから、はやく帰り支度しろ」

ここまで案内してくれたマネージャーさんがやってきた。

都合のいい夢もここで終わりか。

「海音ちゃん、この後時間ある?ゆっくり話がしたい」

まさかの夢続行?

私実は結構図太いのかもしれない。

「時間は大丈夫ですが、優麻ちゃんを1人で帰すわけには…」

「私のことも一緒に送ってくれるみたいだから、心配ないよ!」

空いたドアからひょっこり顔をのぞかせた優麻ちゃん。

「じゃあ、時間ちょうだい。急いで帰る準備してくるから待ってて」

陽貴さんは足早に部屋を出て行った。

「優麻ちゃん、私かなり都合のいい夢をみてるみたい」

「夢じゃないよ」

そういって、私の頬を優しくひっぱる優麻ちゃん。

「いひゃい」

痛いってことは夢じゃない?

私さっき会いたかったって正直に言っちゃった…。

先ほどの自分の発言に恥ずかしくなり、その場にうずくまる。

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