キミノオト

「俺も、お風呂行ってくるね。適当にくつろいでて」

陽貴さんが部屋を出て行ってしまったので、とりあえずソファに座って優麻ちゃんにメッセージを送った。

応援してくれた優麻ちゃんに報告をしなくては。

<無事に気持ちを伝えて、お付き合いすることになりました。優麻ちゃんのおかげだよ。ありがとう>

すぐさま電話が鳴る。

「おめでとう!!」

もしもしすらいう間もなく、優麻ちゃんの興奮した声が聞こえた。

「ありがとう。実感なくて、未だに夢見てる気分」

「現実だよ。頑張ったね」

優しい優麻ちゃんの声。

「優麻ちゃんのおかげで伝えられんだよ。本当にありがとう」

「いろいろあったけど、海音が前に進めて安心した。幸せになってね」

心から祝福してくれているのが伝わってくる。

「こんなに幸せでいいのかな」

「幸せになっちゃいけない人なんていないんだよ」

「わかってる。でも、龍也に言われた通り、私みたいなダメ人間が愛されるわけないって、どうしても思っちゃって…」

幸せなのは、今だけかもしれない。

すぐに好きなのは勘違いだった、とか、思ってたのと違う、とか言われてフラれてしまうかもしれない。

陽貴さんがそんな人ではないのはわかってるはずなのに、どうしてもネガティブになってしまう。

いつか私はこの呪いから解放されるんだろうか。

「海音が好きになった陽貴さんはそんなこと言う人じゃないでしょ?」

「うん。そうだね、陽貴さんはそんな人じゃない」
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