キミノオト
カチャッ
そこへ陽貴さんが戻ってきた。
少し驚いた顔をしている気がする。
もしかしたら、話が聞こえてたのかな。
「あ、陽貴さん戻ってきたから切るね」
「電話変わって」
「え、変わるの?」
優麻ちゃんにはやくと急かされ、おそるおそるスマホを差し出す。
「優麻ちゃんが、陽貴さんと話したいって言ってて…」
快諾してくれた陽貴さんがスマホを耳に当てる。
「もしもし」
何の話をしているんだろう。
真剣な顔で話す姿をただ見守る。
「わかってます。もちろん、大事にします」
突然陽貴さんの口からでた言葉に驚く。
その後返されたスマホは、すでに通話が終了していた。
何の話をしたのか聞いてもいいのかな。
迷っていると、陽貴さんが話し出した。
「彼女、海音ちゃんのこと本当に大好きなんだね。海音ちゃんのこと泣かせたら許さないって。よろしく頼まれちゃった」
優麻ちゃん…。
私は嬉しくて、つい笑顔になる。
「私にとっても、すごく大切で大好きなお友達です」
優麻ちゃんがいなかったら、今のこの幸せもなかっただろう。
私は、彼女と友達になれた自分を誇らしく思っている。
陽貴さんは優しく微笑んでくれた。