キミノオト

「お疲れ様でした」

なんとか1日のタスクを終えて、帰路につく。

今日は優麻ちゃんリクエストのハンバーグを作るんだった。

スーパーに寄って帰ろう。

オフィスビルを出て、カバンを肩にかけなおしながら顔を上げた。

足が止まる。

まるでそこに縫い付けられたかのように、足がすくんで動けない。

熱くもないのに汗をかいている感覚。

視線の先には、私に呪いをかけた彼に似た男性。

似ているだけ。

違うのはわかっている。

でも、別人だとわかっていても、彼に似た人を見るとどうしても体がこわばってしまう。

追いかけてきたのではないかと、どうしようもない不安にかられるのだ。

体が逃げようと、心は囚われたまま。

まるで、逃がしはしないとでも言われているかのようで、頭の中が恐怖と不安感で支配される。

一体どれだけの時間立ち止まっていただろう。

ブーッブーッ

ポケットに入れたスマホが、私を現実に引き戻した。

冷えた指先でスマホを操作する。

優麻ちゃんからのメッセージだ。

<仕事終わった?今駅にいるから、もしまだ外にいるなら一緒に帰ろー>

少しだけ不安が和らぐ。

本当に優麻ちゃんには頭が上がらない。

<会社出たところ。すぐに行くね。>

返信をすると、深呼吸して駅までの道を急いだ。

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