キミノオト

「怖い思いしたばかりなのにごめんね。もう、我慢できない」

「え?んっ」

我慢って?ってきこうとした私の唇は、陽貴君にふさがれる。

いつもと違う熱っぽいキスに必死にこたえる。

突然、胸に陽貴君の手が触れ、私の体はびくっとはねた。

え、待って。

いつかそうなる日が来るとは思ってたけど、まだ心の準備が。

いや、でももうすぐ付き合って2か月経つし…。

そんなこと思ってるうちに、気づけば胸の上まで捲り上げられた服。

「電気消してほしい」

まじまじと見つめられて、もう恥ずかしさで死んじゃいそう。

「なんで?こんなきれいなのに。よく見せて」

器用に下着のホックをはずすと、直接触れる熱い手。

「っ」

なにこれ、こんな感覚しらない。

必死に漏れそうになる声を抑える。

「声我慢しないで、きかせて」

いとも簡単に片手で私の両手を抑え込む陽貴君。

「んっ、だめ、おかしくなっちゃう」

「かわいい」

陽貴君の手が、舌が、私の体中を愛撫する。

まるで宝物に触れるみたいに甘く優しく。

快楽でおかしくなりそう。

自分の声じゃないみたいな、甘い声が口からこぼれる。

脳天を電気が走ったみたいな感覚とともに、私の体が大きく痙攣した。

「かわいい」

何度もイかされた後、陽貴君が私の中にゆっくりはいってきた。

「つらかったら教えてね」

余裕のなさそうな顔をしてるのに気遣ってくれる愛しい人。

大きくかたくなったそれが、奥まで入ったと同時にまた大きく痙攣する体。

まだ入ってきただけなのに。

信じられないくらい自分の体が敏感になっているのがわかる。

「ゆっくり動くよ」

陽貴君が動くたびに声が漏れる。

こんなのしらない。

私が知ってる行為は痛くて、つらくて、相手の欲を満たすためだけのもので。

早く終われっていつも思ってた。

こんなに幸せになれるものだったなんて。

だんだん激しくなる動きに、快楽で意識が飛びそうになる。

「ごめん、俺もうっ」

今日一番の電気が走り、私はそのまま意識を手放した。
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