キミノオト

トリノコシの音楽を聴きながら黙々と手を動かす。

料理は嫌いじゃないけど、得意でもない。

そもそも私には得意なことなんてないんだけど。

要領が悪いからこそ、平日楽するために冷凍できる食材は先に切って冷凍しておく。

ついでに下味冷凍しておくと、朝冷蔵室に移動しておいて夜食べる前に焼くだけだからすごい楽なんだよね。

栄養バランスのとれた食事がとれて節約にもなるから自炊するようにしてるけど、できることなら楽はしたい。

平日の私は、冷凍ストックを用意しておいた自分を少しだけ褒めてあげられる。

いつも通り優麻ちゃんが食べる分も用意しておこう。

でも、今回処理するのはそれだけじゃない。

忙しくて食事を抜くことが多くて、宅配ご飯に頼りがちだって言ってた陽貴君のために、作り置きを用意することにした。

宅配ご飯おいしいけどね。

レンジで温めなおすだけならすぐ食べれるし、忙しくてもちゃんと食事をとってくれるかな。

陽貴君のことを想って料理する時間は不思議と楽しかった。

「こんな感じでいいかな」

出来上がった料理たちを保冷バッグに詰める。

粗熱をとっている間に洗い物も済ませたし、お泊りの準備も完璧。

まだ早いけど、陽貴君のお家に向かおうかな。

少しだけ多くなってしまった荷物を抱えて家を出る。

「さむっ」

冬の冷たい空気で一気に体が冷えていく。

でも、不思議と胸は温かい。

もうすぐ陽貴君に会えるんだって思うと、心がぽかぽかしてくる。

私は、いつもより少し足早に陽貴君のお家へと歩みを進めた。

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