キミノオト
二人並んでソファに座る。
「さっきの電話のことなんだけど」
「うん」
かしこまって話す陽貴君に思わず背筋が伸びる。
「ごめん、昨日手をつないで歩いてるところを撮られたみたいで」
「え…」
思わず声が漏れる。
それってかなりまずい状況だよね。
「それで、さっき2人にも相談したんだけど」
陽貴君が何か話しているけれど、全く耳に入ってこない。
どうしよう、私のせいだ。
私が一人で対処できてたら、離れて歩いてたら、そんな写真撮られなかったはずなのに。
私のせいで、陽貴君に迷惑かけちゃった。
やっぱり私なんかが、側にいちゃいけなかったのかな。
「きこえてる?」
心配そうに顔を覗き込まれ、はっとする。
「え、めちゃくちゃ顔色悪いよ。横になろう」
陽貴君は、私の顔を見て驚いた顔をしていた。
顔面蒼白とはまさにこのことだろう。
陽貴君に促され、ソファに横になった。
頭の中は、ずっと忙しくぐるぐる動いている。
「そのままできいてほしいんだけど」
床に座った陽貴君が、頭をなでながら優しい声音で話し出した。
「2人にも意見聞いたけど、俺たちはアイドルじゃないし、恋愛禁止なんてルールもない。だから、バレても問題ないねって意見で一致した」
「え?」
「もうすぐネットニュースにもなるんじゃないかな。事務所からマスコミに海音には近づくなって圧かけてもらったけど、しばらくは迷惑かけるかも」