キミノオト

さらっと言う陽貴君だけど、彼らをアイドルのように推しているファンやリアコを語っているファンもかなり多く存在する。

そんな人たちが、その記事を見たらどう思うだろう。

傷つくに決まっている。

下手したら、ファンをやめてしまう人や逆上して危害を加えてくる人もいるかもしれない。

ここまで3人が築き上げてきた大事なものが、私のせいで崩れてしまうかも…。

こんな時に寝ている場合じゃない。

ソファから起き上がる。

「陽貴君、ごめんなさい」

「なんで謝るの」

なんでもないことのように笑ってみせているけど。

「陽貴君達はバンドマンだよ。だけど、熱愛報道なんて出たら、少なからず悲しむファンもいるよ」

「それで離れていってしまうなら、俺たちはまだその程度にしかなれてないってことだよ」

私は、彼らがどれだけファンを大事に思っているかを知っている。

だった2か月だけど、真剣にファンに向き合う姿を側で見てきたから。

でもその努力が私のせいで。

私なんかいなければ。

やっぱり、私のような役立たずが夢見てはいけなかったんだ。

途端に、封印されていた箱が開いたように、龍也の言葉たちが頭の中を支配する。

『ホント使えねぇやつだな』

そうだね、使えないどころか足引っ張っちゃったよ。

『お前に選択肢なんかあるわけねぇだろ』

わかってる。

ちゃんとわかってるよ。

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