キミノオト

【9】


季節は本格的に冬になった。

今日のオフィスは、私含めみんなが浮足立っているような気がする。

それもそのはず。

今日は金曜日で、さらにクリスマスイブなのだ。

家族、友人、恋人。

大切な人と過ごしたい日。

そんな日に残業なんてしたくない私は、定時で帰るために仕事に集中する。

パソコンとにらめっこをしていると、陽貴君からメッセージが届いた。

うぬぼれかもしれないけれど、心の傷を打ち明けて以来、距離が縮まった気がする。

<おはよう。今日、楽しみにしてるね>

<私も楽しみ。定時で上がれそうだから、仕事が終わったらそのまま向かうね>

にやけそうになる顔を引き締めて、メッセージを返した。

相変わらず忙しい陽貴君とは全然会えていない。

けど、運よく明日の夕方まで陽貴君の時間が空いていたので、今晩はお泊りして一緒に過ごすことになっている。

しかも、明日の仕事が生放送の音楽番組らしくて、大好きなトリノコシのパフォーマンスがリアルタイムで見れる。

トリノコシのファンとしては、今から楽しみで仕方ない。

陽貴君には、仕事行くけど帰らないで待っててって言われたから、お言葉に甘えて陽貴君の家の大画面で贅沢に生放送を堪能する予定。

そして迎えた定時。

無事タスクを終えた私は、念入りに身だしなみを整えて会社を出た。
< 69 / 133 >

この作品をシェア

pagetop