キミノオト

お風呂の後は、お互いの髪を乾かしあうのが恒例になっている。

私の長い髪も文句を言わず、ていねいに乾かしてくれる陽貴君。

触れる手が心地よくて、眠くなっちゃうんだよね。

しかも、自分の髪から大好きな人と同じ香りがしてくるの。

そんなの安心しないわけないよね。

もちろんドキドキもするんだけど。

「眠そうな顔してる」

ドライヤーのスイッチを切ると、私の顔を覗き込んで陽貴君が笑う。

「陽貴君に乾かしてもらうの気持ちよくて」

「かわいい」

陽貴君はささっとドライヤーを片付けると、なぜか急に私をお姫様抱っこで抱き上げた。

「え、どういう状況これ」

「このまま寝室連れてってあげる」

恥ずかしがっている私を楽しそうに運ぶ意地悪な陽貴君。

必死で服の裾をおさえる。

捲れたら見苦しいものを見せてしまう。

私の私物も増えてきたけれど、部屋着は陽貴君のものを借りている。

なぜかわからないけど、陽貴君にどうしてもと懇願されたから。

陽貴君が着てもオーバーサイズの服だから、私が着るとワンピースみたいになってる。

それもあってか、踏んで転ぶと危ないからってズボンを禁止されていて。

自前のショーパンを履いてみたら、逆にダメ、となぜか却下された。

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