キミノオト
今は塞ぎこみがちだけど、元は明るくてアホな子。
思ったことがそのまま顔に出て、ころころ表情が変わるところがすごくかわいくて。
私からぐいぐい話しかけて仲良くなったんだよね。
一つだけ欠点をあげるならば、冷静に物事をとらえることができるくせに男を見る目はなかったこと。
海音は、あの男と付き合いだしてから人前に出るときにはマスクをするようになった。
理由をきいたら、少しでも醜い顔を隠すためだって泣きそうな顔で笑ってた。
これもあの男にかけられた一種の洗脳だ。
海音に顔を隠させることで、ほかの男にとられるリスクを減らしたかったんだろう。
自分は努力もせず、海音の行動を制限することで縛り付けようとしていた。
でも、それだけじゃない。
あのクズは、海音と別れたくないくせに欲に負けて浮気を繰り返していた。
許せない。
「スーパーに寄りたいんだけど、いい?」
突然、下から覗き込むようにきいてくる海音。
一瞬で怒りのメーターが下がる。
「いいよ!海音、かわいい!!」
公衆の面前であることも忘れ、思わずぎゅっと抱きしめると、少し困ったように海音は言った。
「私なんて、全然だよ。優麻ちゃんこそかわいくて優しくて、神様みたい」
本当にこの子は、なんてかわいい生き物なんだ…
絶対に幸せになってもらいたい。
何か方法はないか…
あ、そうだ、あれはどうだろう!
一人頭の中で作戦を考えながら、スーパーで買い物をして帰路へとついた。