キミノオト
陽貴君のストレートな言葉に、さすがに両親も驚いている。
「あらまぁ」
「…君になら、娘を任せられそうだな。娘をよろしくお願いします」
「ありがとうございます」
え、本当に?
そんな二つ返事で承諾する?
一回は反対するものじゃないの?
「海音、今回のように大変な思いをすることもあるだろう。でも、家族になるのであれば、守られるだけじゃだめだ。お前は少し心が弱いところがあるが、覚悟を持ちなさい。強くなって、彼を支えられる人間になれ」
「はい」
私の返事をきくと、父は満足そうにお酒を一口。
「海音、陽貴君のまわりにはきれいな子がわんさかいるでしょうから、自分磨きも忘れちゃだめよ。相当モテるようだし、油断すると簡単にほかの子にとられちゃうかも」
「僕は、今もこの先も海音さんにしか興味ありません。浮気もしないと誓います」
母の言葉に私より早く宣言してくれる。
「こういってくれてるけど、胡坐をかくつもりはないよ」
母は満足そうに笑うと、頑張りなさい、とだけ言って、お茶を一口。
これから先、どんな人が相手になっても、陽貴君だけは譲るつもりなんてない。
もう身を引くことなんてできないくらい、どうしようもなく陽貴君を愛してしまったから。
強くなろう。
ずっと胸を張って寄り添っていけるように。