キミノオト

ブーブー

またスマホが鳴って、画面を確認すると、優麻ちゃんからの着信。

通話ボタンを押してスマホを耳に当てる。

「海音!ネットニュースみたんだけど大丈夫!?」

「大丈夫だよ」

「…泣いてた?」

なんでもお見通しなのね。

「私、陽貴さんと別れた」

「…え?ちょ、え?」

困惑している優麻ちゃん。

「私なんかが側に居たら、陽貴君が大事にしてきたものを壊しちゃう。陽貴君が大事だから、お別れしてきた」

「陽貴さんは納得してるの?」

「わからない。黙って出てきたから。でも、探しに来てくれたってことは、納得はしてないのかもしれない」

それはダメだよ、ちゃんと話しなさい、と電話の向こうで優麻ちゃんが怒っている。

「でも、私のことなんてすぐに忘れるよ」

陽貴君の周りには素敵な女性がたくさんいて、きっとこれから素敵な出会いがたくさん待っているだろう。

忘れられてしまうのは悲しいけれど、私は陽貴君にもらった愛を忘れはしない。

「勝手なのはわかってる。でも、私には選択肢なんてないから」

「あま「優麻ちゃん、ライブ後の打ち上げあるんでしょ?私は大丈夫だから楽しんで!ね」」

何か言おうとしてたのはわかってた。

けど、何を言われても譲れない。

私は無理やり電話を終えると、家を出た。
< 89 / 133 >

この作品をシェア

pagetop