キミノオト
見慣れた駅で停車すると、みんなで電車を降りる。
…目立っている。
大所帯なうえに、変装しているとはいえ雰囲気のある3人と、派手美人な優麻ちゃん。
テーマパークの時はあの空気感のおかげで気にならなかったけど、街中にこの集団居たらそりゃ見ちゃうよね。
この目立つ集団に紛れ込んだ平凡な私。
「いたたまれない…」
「なにが?」
ぼそっと呟いた声に反応する陽貴君。
お耳がよろしいようで。
なんでもないよ、と、へらへらごまかすと、不思議そうな顔をしていた。
「じゃあ、ここで」
「いやいや、海音はこっち」
駅の入り口で別れようとした私を引き戻す陽貴君。
「え?でもずっと家開けてたし、換気とか…」
「海音、察してあげな」
やれやれ、と、優麻ちゃんが呆れている。
「そうだよ、海音ちゃん不足な陽貴を癒してあげて」
「あんまり時間ないけど、海音ちゃん成分補充したら、いいパフォーマンスできるだろうから」
今夜のできは、海音ちゃんにかかってる、と綾さんと誠さんにも諭され、陽貴君のマンションへ帰ることに。
一刻も早く家に辿りつきたかったらしい陽貴君は、2人を巻き沿いにタクシーに乗り込んだ。
あっという間にマンションにつく。
エレベーターを降りるなり、じゃあ、あとは頼んだ!と2人はそそくさ部屋に入ってしまった。