キミノオト

無事実家にたどり着くと、さっさとお風呂をすませてご飯も食べずに布団に入る。

そんな私を見て、両親は心配そうにしていたけれど気づかないふりをした。

どうしてもご飯を食べる気になれず、あれからたった4日で3キロ減った。

いいダイエットになってると思う。

無意識にスマホの写真フォルダを開く指。

「陽貴君…」

スマホの中の彼は、私だけに微笑んでくれている。

もう、この瞳が私を映すことはないんだな。

気を抜くと、無限に涙が溢れてくる。

体の中の水分全部出て行っちゃうんじゃないかってくらい。

いつの間にか泣き疲れて眠りについていた。

『お前なんかが幸せになれるわけないだろ』

『黙って言うこと聞いてろ!!』

汗だくで飛び起きる。

今日も悪夢。

時間を確認すると、30分ほど眠っていたようだ。

あの日から、まともに眠れていない。

もう一度寝ようにも寝付けず、今日もろくに眠れないまま朝が来た。

特に予定もないので、1日家に引きこもって過ごす。

気づくと陽貴君のSNSやトリノコシの動画を見ている自分に驚く。

本当に無意識で、体は正直に、こんなにも陽貴君を求めてるんだなって痛感する。

「会いたいよ…」

自分で離れるって決めたくせに。

本当に自分勝手で嫌な女だな。

自己嫌悪を繰り返しているうちに、気づけば日が落ちて部屋が薄暗くなっていた。

気分転換でもしよう。

軽くメイクを済ませると、車の鍵を持って部屋を出た。
< 91 / 133 >

この作品をシェア

pagetop