【失恋同盟】




“昼。空き教室”


お弁当を食べ終えて、少しだけ深呼吸してから空き教室へ向かう。


扉を開けると――

床に座って、壁に背を預けて英語の教科書を読んでいる佐成くん。
その姿が、なんだかすごく落ち着いていて、見ているだけで胸がざわつく。

静かに、その隣に座る。
佐成くんとの2人きりは、 もう慣れたはずだった。

でも、文化祭以降―― 2人きりになると、またドキドキするようになった。


肩が触れ合いそうなくらいの距離。そのだけで、口から心臓が飛び出しそう。

佐成くんは、パタンと教科書を閉じて、片膝を立てながら私の方を見る。



「麻衣と話した」


「え…」



麻衣さん。佐成くんが、失恋した相手。

その名前が出た瞬間、空き教室の空気がすっと冷えた気がした。


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