【失恋同盟】
「いっぱいあるよ、話したいこと。佐成くん、聞いてくれる?」
その言葉に、佐成くんは静かに頷いた。
そこから、時間をかけて話した。
駿のこと。結菜のこと。
私が完全に駿のことを吹っ切れたこと。
そして、結菜とも変わらず友達を続けていくこと。
佐成くんは何も言わず、静かに私の話を聞いてくれた。
ときどき、「うんうん」って、優しく相槌を打ってくれる。
その穏やかな顔が、あまりにも優しくて――
何故か、泣きそうになった。
「全部、佐成くんのおかげだね。ほんとに、ありがとう」
佐成くんに向かって、深々とお辞儀をする。
「こちらこそ。ありがとう」
佐成くんも、頭を下げる。
顔を上げた佐成くんは、笑っていた。
その笑顔が、あまりにも優しくて、あたたかくて――
「もう同盟じゃなくてもいいかもね」
安心したような顔。
その顔を見た瞬間、涙が零れた。