【失恋同盟】
「かわいい、全部かわいい」
急に甘い言葉。
ぎゅっと、佐成くんの抱きしめる力が強くなるのを感じる。
「かわいいって言うのも、佐成くんだけ」
「かわいいだろ、どう見ても」
佐成くんはそう言って離れて、私の腕を引っ張って窓の前に立った。
「えっと…?」
「窓、見て」
窓に薄く映る、私と佐成くん。
「小さいし、可愛いよ。篠原は」
…なんだろう。
…なんて言えばいいんだろう。
「…篠原?」
ポロっと、一粒。涙が零れた。
「最近泣きすぎじゃない?」
「佐成くんのせいっ…」
佐成くんが、嬉しい言葉を言ってくれるからっ…。
窓の前に並んだ私たちは、頭一つ分くらいの身長差があって。
コンプレックスの身長も、強がりなところも、自己肯定感低い所も――
全て、丸め込んでくれる。
大好き。